(パート2からの続きです)

 文月今日子先生は、有名な漫画家の先生で、ハーレクイン・コミックなどで素敵なロマンス・ストーリーをたくさん描いていらっしゃる方です(よろしければ、文月先生のHPをご覧になってください♪)
 私の母は北九州で獣医師をしているのですが、そんなすごい漫画家の先生のわんちゃんが、母の長年の患者さんだったのです!
 文月先生のことは私が高校生の頃から知っていましたが、その頃はもうすっかり絵を描くことから離れていたので、お会いしようと思ったことはなかったのですが、この時ふと、文月先生にお会いして、絵を描くことについていろいろアドバイスをいただきたいと思ったのです。

 早速母にお願いして、文月先生の旦那様に連絡を取ってもらい、お仕事場をご訪問させていただきたいとお願いしたのです。
 ところが、先生のお宅では数週間前にご不幸があったばかりで、すぐにご都合がつくかどうかわからないとのご返答・・・。
 とりあえず検討してみますとのお返事をいただいたのですが、東京に行くまでに先生にお会いできる可能性は低いかもしれないと、正直思いました。

 それでも運のいいことに、数日後に先生の旦那様からご連絡をいただいて、「来週の月曜日ならいいですよ」というお返事をいただいたのです!その日は東京に発つ5日前の日でした。
 私は嬉しくて、ツキが味方してくれてるのを感じずにはいられませんでした。


 そんなこんなで、ようやく文月先生にお会いできる日がやってきました☆
 しかしながら、その前日は福岡で司法書士試験を受験し、事情があってそのまま福岡で一泊しなければならず、当日は福岡から先生の自宅まで直行することとなったのでした。
 その日は真夏日で、汗だくになりながらやっとの思いで先生宅に到着しました。

 ご自宅の中に案内されてすぐに元気なわんちゃん2匹がお出迎えてしてくれました。
 自宅の玄関を入ってすぐに先生のお仕事場があるのですが、そこで初めてお会いした先生は、いつか先生の漫画の中でお見かけしたキャラクター化された先生そのまんまだと思いました。
 そして先生は、
 「よく事情を知らないんだけど、今回はどういった目的で来られたの?よかったら作品も見せて」
とおっしゃいました。

 私は先生の対応から、先生宅にはよく漫画家を目指す方が訪れていることを察しました。そして、先生は私もその一人だと思ったようです。
 私はもう何年も絵を描くことから遠ざかっていたこと、最近になってようやく絵を描くことを再開したこと、今回は大好きな作家の先生のお誕生日に自分の描いた絵をプレゼントしたいことなどを先生に説明しました。
 それでも、先生はお手本を写した絵でもいいので、私の描いた絵を見たいとおっしゃいました。

 私は自分のスケッチブックを先生にお渡ししました。そこには、『キャンディ・キャンディ』の表紙を写生した絵が何枚かありました。
 先生は、スケッチブックの表紙をめくってすぐに、
「あら、キャンディちゃん!」
とおっしゃいました。
 「あなた、キャンディちゃんが好きなのね。でも、キャンディちゃんって結構古いのに、めずらしいわね。」
 先生には、私がキャンディの絵を描いてきたことが意外だったようでした。
 そして、先生はこう続けられたのです。
 「私が漫画家協会に入会する時に、推薦人になって下さったのがいがらし先生だったのよ・・・。まあ、なつかしいわ・・・。」
 いがらしゆみこ先生は、『キャンディ・キャンディ』を描いた漫画家の先生なのです!
 つまり、私の大好きな『キャンディ・キャンディ』を描いた漫画化の先生と、文月先生はお知り合いだったのです!
 私は、この偶然に身震いしました。私が最も愛する漫画である、『キャンディ・キャンディ』を描いた漫画化の先生と、こんなふうにつながりを感じることになるなんて・・・!

 そして先生は、私の描いた絵を丁寧に眺めていらっしゃいました。
 私はきっと、「ここはもっとこうした方がいい」とか、改善点を指摘されるものだとばかり思っていました。
 そして先生はついに、こうおっしゃったのです。
 「とても上手じゃない。必要なものは全部持ってるから。あとは、たくさん描いて自分のスタイルを確立するだけね。」

 私は、思ってもみなかった先生のあたたかい言葉に、何だか拍子抜けしてしまいました。
 先生は更に、
「細かいところまで丁寧に仕上げてあるし、最後まで書き通す力も持ってるし。プロとしては別の話になるけど、アマチュアとしては必要なものを全部持ってると思うわ。」
とおっしゃったのです。

 私は、文月先生から意外にも好意的な言葉をいただけたのがすごく嬉しくて・・・。私が心から情熱を感じる「絵を描く」ということについて、こんなにもあたたかい励ましをいただけるなんて・・・。
 私はこみ上げてくる熱い気持を抑えきれず、先生の前で急に泣き出してしまったのです。(
 すると先生は少しあわてて、
 「あらあら、泣くことはないのよ。絵が上手ねってほめただけなんだから。さあ座って、少し落ち着いて」
と私を落ち着かせてくれたのでした。

 私は、今までずっと好きな絵を描けずにいたこと、そして最近になってようやくその「宝物の気持ち」を再発見したこと、ここまで来るのは長い道のりだったこと、だからこそ、今文月先生に私の絵をほめてもらえたことがすごく嬉しかったこと・・・などを、泣きながらお話しました。

 すると先生は優しく、「そうだったのね・・・。」とおっしゃいました。
 私には、その時先生の私に対する見方が少し変わったように感じました。
 少なくとも、私が他の漫画家を目指す大勢の子たちとは少し違うシチュエーションにいることは伝わったように思います。
 先生は、私が少し落ち着くまで、いろいろな話をして下さいました。先生の漫画家デビュー時のこと、デビュー前に通っていらした美術学校のこと、デビューなさってからの東京での生活、などなど・・・。


 それから約2時間の間、技術的なことに関するアドバイスの他、実際の原稿を見せて頂いたり、どんな道具を使ってらっしゃるのかを見せて頂いたり、作品の製作秘話を教えていただいたりと、私にとって夢のような時間を過ごさせていただきました。
 この時に教えていただいた技術の中で、後で実際にマーメイドの絵を描くときに参考にしたものも幾つかありました。
 でも、私は今回文月先生にお会いしたことで、技術的なこと以上にもっと大切なものを頂いたのだと確信しています。

 一つは、実際に素晴らしい作品が出来上がるまでのプロセスを見せていただいたこと。
 自分にはとても真似ができないと思うような作品でも、一つ一つのプロセスを理解すると、何だか自分でも同じものが描けるような気になるものです。
 そうやって、「もしかしたら自分にもこんな絵が描けるかもしれない」と、自分の可能性を広げるきっかけを頂いたことは、私にとって重要なことだったと思います。
 何だか階段を一つ上ったような気がしました。

 そして、一番重要なのは、先生の作品に触れさせていただいて、インスピレーションをいただいたことです。
 アーティストにとって、この「インスピレーション」ほど大切なものはないのではないでしょうか。
 文月先生にお会いし、いろいろな作品を見せていただき、たくさんのお話を聞かせていただいたことが、私にとってよい刺激となり、創造力を掻き立ててくれたのだと思います。
 そのおかげで、後に「私だけのマーメイド」を描くことができたのだと、私は今でも実感しています。

* * * * *

(パート4に続く)

Mermaid
☆後で私が実際に描いたマーメイド☆
2009.08.17 Mon l ├夢 l Comments (0) Trackbacks (0) l top

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